原宿駅を出ると、そこは最早、若者の街・原宿ではありませんでした。
なんでオバサンばっかりなの!?とにかく凄いんです。
いつもと風景が違うのです。
道端にはインチキ生写真屋がズラリと並んでいたので、
誰かと思い見てみると…
イ・ビョンホン。
そこいらじゅうイ・ビョンホンだらけ。
代々木体育館のほうを見てみると、
デカイ看板に「LBH」の文字とニヒルに笑うイ・ビョンホン。
ニヒルなんて言葉は死語に近いのかもしれませんが、
もうこれはニヒルとしか言い様なし。
ニヒレストかもしれない(?)
いや~しかし韓流恐るべし。
オバサマたちの人ごみをやっと抜けて、NHKホールの近くまで来ると、
ここもやや年齢層高めゾーン。
公演スケジュールを見ると
「2月28日 山下達郎」
の文字。
おぉなるほど。
こっちも見たいな(笑)
で、その先のC.C.Lemonホールは和幸ですか。
なんですか今日はこのあたり。
中高年祭りですか?
レモンの中に入ると、あ~いかにも和幸のライブだなぁと感じます。
アルフィーの客層は恐ろしく幅が広いですが、
ここでは40代の俺なんか若造の部類。
もちろんいかにもアルフィーファンという人も多いですが^^;
50代60代と思われる方々も目立ちます。
そして業界人風の方々もたくさん。
さすが業界受けユニット(笑)
チケットを手にして、ネットで席の位置を確認した時点で、
こりゃ関係者席に近いなぁと思ってたんですが、
実際に席に行ってみると、近いも何もすぐ後ろ。
2階ど真ん中3列目(2階13列)の通路際席で、
前の2列はガラーンとしています。
ポツリポツリと埋まっている2階最前列を見てみると…
うわ!伊勢正三だ!すっげー!
で、その右奥を見ると、
うわ!佐野史郎だ!すっげー!
そうこうしているうちに、今度は俺の横をダーイシが通過。
通路を挟んで右斜め前に着席。
またかよ。
もうダーイシの近くの席、何回目だよ(笑)
で、ダーイシ問題が落ち着いたところで左前方のちょっと離れたところに
自称EXILEのせんとくん…いや違った、吉田太郎ちゃん着席。
いやいや凄いね今日は。スターがいっぱいだね。
当時オールナイトフジや夕ニャンを欠かさず見ていて、
とんねるずファンでもある自分からすればダーイシさんも大スター(笑)
声デカイけど。
タカミーや桜井さんは来たとしても客電落ちて暗くなってからだろうなぁ。
(相変わらず長い前置きですんません)
18時を6~7分回った頃、やっと客電が落ちました。
その途端、右後ろあたりの空気がざわつきます。
直後、俺のすぐ右側の通路を長髪グラサンの豹が通過!
高見沢さん、暗い場所でも目立ち過ぎです(笑)
どこで売ってんのその豹柄。
ダーイシの前、最前列通路際にタカミー着席。
ある程度予想はしていたとはいえ、これは奇跡的な空間。
冬彦さん(古)やら「なごり雪」の人やらせんとくんやら、
大プロデューサーと豹柄王子はすぐそこにいるし、どうも落ち着かない。
いや、いかんいかん。
もうライブは始まってます。ステージに集中しなさい。
肩を組んで和幸の二人が登場。
正確に言うと身長差があり過ぎて肩を組めてない(笑)
加藤さんはグレッチのホワイトファルコン、
坂崎さんはピンクになにやら模様の入ったエレキ。
おそらくESP製だとは思うんですが、遠くてよくわからず。
ニューアルバムの話で加藤さんがいきなり
「いろいろと世間をお騒がせしておりますが…」
と言ったところで、坂崎さんが
「その話題はやめましょうよ(笑)」
と軽くたしなめる場面も。
しかしほんとにまああの事件はひどいタイミングでしたね。
♪ アーサー博士の人力ヒコーキ
初めて聞いたのはフォーク村のオープニングでの坂崎さんソロでしたが、
今となってはもうすっかりおなじみの曲になりました。
「はっぴいえんどの曲のタイトルをいろいろもじったんだけど、
発表できないようなのもあったよね。」
「"12月の雨の日"が"12月のアレの日"とか、
"風をあつめて"が"金をあつめて"とか(笑)」
♪ タイからパクチ
タイトルは、はっぴいえんどの「はいからはくち」、曲のベースは「かくれんぼ」、
そこにCSN&Yのテイストを織り交ぜた曲。
坂崎さんのリードや二人のボーカルの掛け合い、
ハーモニーがとにかくカッコいい。
「はっぴいえんどは"夏なんです"ですが、
和幸の場合は"ナスなんです"」
♪ ナスなんです
全編通してファルセットの曲。
ザ・バンドの「ザ・ウェイト」が下敷きということですが…わかりません^^;
今度聴いてみます。
はっぴいえんどにもこんな雰囲気の曲があったような気がするんですが…
わかりません。勉強します。
この曲に「おたんこなす」という言葉が出てきますが、
この由来を坂崎さんが調べたらしく、
どうやら昔の遊女の言葉であるとのこと。
「おたんこ・なす」ではなく「お短・小茄子」。
遊女が嫌な客をからかう意味で、
男のアレが「お短」「小茄子」という意味だそうです。
加「次は、サイモン&ガーファンクルがこの曲を聴いて
ミセス・ロビンソンを作ったという曲です(笑)」
ファーストアルバムの曲ですが、
このネタを真面目に捉えた人からレコード会社に抗議があったとか(苦笑)
♪ サタデーナイトムービー
確かにミセス・ロビンソンです。
あのチョーキングの感じとか、うれしくなります。
「アメリカから今度はイギリス、マージービートというのがありまして…
和幸の最初のヒット曲です」
♪ バラバラふたり
やっぱりあのPVの映像が浮かんできます。さすがヒット曲(笑)
♪ ひっぴいえんど
社会に反発して自由を求めていた若者たちが
次第にその社会に飲み込まれていった、
一つの時代の終わりが歌詞に込められているわけですが、
よく聴くと、「今日までそして明日から」「春夏秋冬」「傘がない」「自由への長い旅」
という当時の名曲が歌詞の中に埋め込まれています。
この辺の遊び心も和幸らしい所です。
♪ あたし元気になれ
このアルバムを聴いて最初に気に入ったのがこの曲でした。
ベースになっているのが
はっぴいえんどの「風をあつめて」だということで納得。
あの曲も好きなので。
加藤いづみさんも「風をあつめて」が好きらしく、
自分のアルバムでカバーしていますが、
この曲もぜひ聴いてみてほしいですな。
ちなみに、着席してからずっと左の肘掛に体重をかけて斜め座りで聴いていた
豹柄王子がこの曲の頭で係員の女性に促されて退場。
後で聞いたところによると、
どうやらレコーディングのスケジュールが詰まっていたらしい。
この後、MCで高見沢さんの話題が何回か出ますが、
その時本人は残念ながらもういませんでした。
ここでバックのメンバーが退場。
二人だけで椅子に座っての弾き語り。
(確かここだったと思いますが)
二人ともギターはマーチンのそれぞれのシグネチャーモデルで、
坂崎さんの方が少しサイズが小さめ。
坂「これ逆だったら大変だよね。
加藤さんがウクレレで俺がウッドベースになっちゃう(笑)」
この辺からは曲ごとに次々とマーチンの名器が登場して、
さながらマーチン博物館の様相。
確かD-45だけでも年代違いで4本出てきたはず。凄すぎ。
「定額給付金100人分」とか(笑)
♪ 生命(いのち)
ここでボーカルこと元ガロ・大野真澄氏の呼び込み。
呼ぶ前から坂崎さんは
「ケッ!坂崎~たのむよ~」
のモノマネ乱発。で、本人も登場してすぐに
「たのむよ~坂崎~」(爆笑)
おんなじだ(笑)
大野さんもD-45を持ってましたよね?という坂崎さんの問いかけに、
「あ~あれ高見沢が持ってっちゃった(笑)その辺に来てるよ」
と言いながら2階席のほうを指したんですが、
残念ながらその時高見沢さんは既に退場後。
その後も、加藤さんが持っているD-45が68年製という話で
「俺が東京に出てきたのが68年だからちょうど記念だよ。
こうやってわざわざ来たんだからくれ!」
と暴走する大野氏(笑)
大「坂崎も1本くれ!300本も400本も持ってんだろ!」
坂「いやそれ高見沢ですから(汗)」
さすがボーカルさん面白すぎ。
他にも面白トーク連発で、この辺はもう笑いっぱなしでした。
高見沢さん、いたらもっと面白かったのになぁ。
次の曲に出てくるお父さんは何をしてる人なのかわからないけど人気があるそうです(笑)
♪ 花街ロマン
公式サイトのインタビューによると、
坂崎さんはこの曲の舞台を自分の地元・向島だと思ってたらしいですが、
加藤さんは湯河原だと主張。
ちょっと色気のある独特な風景が浮かんでくる曲です。
俺も一応、向島生まれなんですが、居たのは7歳までだったので、
覚えている風景は町工場や駄菓子屋や入り組んだ路地ばかりで、
芸者さん達が歩いているような場所の記憶がないのです。
よく遊んでいた「鳩の街」が、昔は赤線地帯だったという話も、
だいぶ後になってから知ったこと。
あの街のそんな一面を実感として持っていたら、
この曲もちょっと違った感じ方ができたかもしれません。
ここで坂崎さんはバンジョーを手にします。
本来は5弦のバンジョーですが、これは6弦の珍しいものだそうです。
大野さんにギターをくれと言われた坂崎さんでしたが、
「これでどうですか?」
と、バンジョーでごまかそうとしてました(笑)
♪ OHAYOU
思い切り「OHIO」なんですが(笑)、
実はCSNの「デジャ・ヴ」やはっぴいえんどの要素も含まれているとのこと。
ん~…深い。
勉強します。
♪ もしも、もしも、もしも
これはもう「青い瞳のジュディ」ですよ。これはわかります。
まあ聴いて似てるとか、
なんとなくこの辺から持ってきたんだろうなぁくらいわかるのはまだまだ素人で、
作った本人はもっと細かい部分にこだわりぬいてるんですよね。
そのあたりの感覚まで共有できたらもっと楽しいんでしょうが、
残念ながらそのレベルまでは到達できません。
10年早く生まれてたらなぁ…とも考えたんですが、もしそうだとしても、
俺のことだから多分歌謡曲方面にハマって、
麻丘めぐみや天地真理のオッカケになってるのが関の山。
だからどっちにしろダメ(苦笑)
次の曲はオープンDチューニングという解説がつきます。
「泉谷さん、Dの音、チューニング合ってないですよ。」
「うるせ~!Dなんか誰も聴いてねえ!」
という泉谷氏のエピソードもつきます(笑)
♪ カレーライス
これいいわ。これ、ほんとにいいですよ。
遠藤賢司のオリジナルも好きですが、
エンケンにCSN&Yの味付けをしたこのカバーは見事。
これぞプロの仕事。感動しました。
ここまで大野氏を含めた3声コーラスだったわけですが、
聴きなれているはずの3声コーラスでも、
当たり前ですが違った魅力が感じられました。
ここからはまたバックの「多国籍軍」が登場、一人一人メンバー紹介。
2階最前、伊勢正三氏の左側に、
品のいい黒人女性と日本人らしき男性が座っていたんですが、
ボリビア人チャランゴ奏者のルイス氏の紹介の時に
うれしそうに笑みを浮かべていたところをみると、
どうやらそのお二人がMCで触れていたボリビア駐日大使だったのかも。
(先ほど調べてみたところ、ボリビア駐日大使は日系人ということでした)
♪ ゴロワーズを吸ったことがあるかい
この曲はムッシュかまやつ氏の曲ですが、
以前何かの番組でアルフィーとムッシュがこの曲で共演していたのを見て以来、
すっかりお気に入りの曲になっていました。
和幸でのカバーもまた違った味付けで、
歌詞に合ったフランスの香りが漂っていい感じ。
坂崎さんのボーカルも、アルフィーでは聴けないような色気を感じさせます。
この曲、
あの「我が良き友よ」のB面だったということを最近はじめて知りました。
すごい落差だ。
下駄を鳴らして腰に手ぬぐいぶら下げてサンジェルマン通りを歩くとどうなるのか。
♪ 池にゃ鯉
タイトルははっぴいえんどの「春よ来い」ですが、曲は「サザン・マン」。
ギターバトルが延々と続く構成までちゃんと入ってます。
♪ モノリス
全体的にシンプルな照明だったんですが、
この曲の花柄の照明は特に印象的でした。
1階前方では見えないものが見えるのが2階席のいいところ(前向き)。
♪ 君が代~自由への長い旅
ステージ奥に大きな日の丸が登場。加藤さんのギターソロで君が代です。
え?これはどういう意味合いなんだろう?という想いと同時に、
これだけ人が集まってると、君が代や日の丸に敏感な人もいるだろうなぁ、
変に騒いだりしなきゃいいけど…
とちょっと不安もよぎりました。
そして君が代が終わると、
日の丸の赤い部分が平和・反戦のシンボルであるピースマークに変化。
ステージの上方から
「戦」「争」「平」「和」「愛」「憎」「自」「由」「幸」「叛」
という文字が一つずつ書かれたボードが下りてきます。
ボードはランダムに下がっているように見えて、
よく見ると一番手前に横に並んだ二つのボードは「和」と「幸」。
なるほどね。
ユニット名からしてLOVE & PEACEなわけですね。
<アンコール>
二人お揃いのピースマークのTシャツに迷彩色のパンツで登場。
加藤さんが、
「国歌を演奏したのは初めてですね」
というようなことを言ったところで、2階席後方から
「なんで君が代なの~!?」
という声が。
あ~やっぱりね。
どんな考えを持とうと構わないし、
そういう考え方があることも承知していますが、ここは違うでしょ。
このコンサートのメンバー、セット、衣装、歌詞、
そんな全体像を見て感じていればわかるはず。
脊髄反射する前にもう少し考えてほしかった。
1階席やステージには聞こえなかったかもしれませんが、
2階席には嫌な空気が流れた瞬間でした。
加「もう全部やりましたんで(笑)ここからはおまけ。」
♪ みんなの地球
加「次の曲は幸ちゃんが見つけてきたんですが…
滝廉太郎もやる和幸!荒城の月じゃないですよ(笑)」
♪ 花
ハモリは学校で教わるのとは違いますが(笑)
隅田川沿いの、川を見下ろすように建っている病院で生まれた自分なので、
この曲はいろいろな情景を思い出させてくれる魅力を感じます。
おまけに演奏は墨田川高校OBですし。
加「いい曲だよね~。こういうのは作れないよね。
なかなかやるなぁ滝くん!」
加「ここまでほとんど誰も知らない曲だったので(笑)
みんなが知ってる曲をやりましょう!」
♪ 学生街の喫茶店
イントロが始まった瞬間、
今まで比較的静かだった客席が揺れたような錯覚。
大野さんのボーカルが始まったところでまた大歓声。
そりゃあもう本物が歌ってますからね。
これはかなり贅沢な時間。
加「これ一番盛り上がったんじゃない?
ヒット曲がないグループは辛いなぁ。」
加「次の曲は幸ちゃんが僕の引き出しを開けまくって(笑)」
坂「これはいつもモノマネで(笑)
何十年も加藤さんのプロモーションしてきた曲ですから。」
♪ 不思議な日
坂崎さんの長年のプロモーションにもかかわらず、
俺はまだオリジナルを聞いたことがない(汗)
和幸バージョンは思い切りフォルクローレです。
チャランゴの本領発揮。
なんかこう音に身を委ねて聴きたい感じ。
加「ずっと南、ジャマイカまで行ってみますか。」
♪ 悲しくてやりきれない
去年は加藤さんが三線を弾いて沖縄民謡風アレンジでしたが、
今年はなんとレゲエ。
悲しくてやりきれないというより、楽しくてたまらない感じに(笑)
加「悲しくないよねこれ(笑)じゃ、もっと南に行っちゃいますか!」
坂「ブラジル!」
♪ あの素晴らしい愛をもう一度
おぉ~今度はサンバですよ。いやもう何ともいいようがありません。
凄い。
そして客席も徐々に盛り上がりじわじわと立ち上がる人が増えていきます。
日本人・アメリカ人・フランス人・ボリビア人が
ジャマイカやブラジルの音楽を奏でて会場全体が盛り上がる様子は
なんとまぁ平和な光景でしょう。
同時に、こういう空間を作り出せる、
素人には真似できないプロの音楽家の凄みのようなものも感じました。
大拍手の中、バックのメンバーは笑顔で手を振りながら、
和幸の二人はまた肩を組んでステージから舞台袖へ消えていきます。
とにかく、ステージ・客席の区別なく、
音を楽しんでいるという空気でいっぱいのライブでした。
また来年もやってほしい、とファンとしては簡単に思ってしまいますが、
それで本家の活動が尻すぼみになっても困るし^^;
程良いペースでこのユニットも続けてほしいと思います。
いろいろな意味で忘れられないコンサートになりました。